今日は、令和3年度 第47問について解説します。

令和3年度賃貸不動産経営管理士試験 第47

賃貸住宅に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

① 障害者の差別の解消の推進に関する法律で禁止される行為を示した国土交通省のガイドライン(国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の促進に関する対応指針。平成29年3月国土交通省公表)は、宅地建物取引業者を対象としており、主として仲介の場面を想定した内容であるため、賃貸住宅管理業者の業務においては参考とならない。

 

② 賃貸借契約における原状回復に係る負担の特約は、原状回復ガイドラインや過去の判例等に照らして賃借人に不利であり、それを正当化する理由がない場合には、無効とされることがある。

 

③ 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づき住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として登録を受けるためには、国土交通省令で定める登録基準に適合していなければならない。

 

④ 賃貸住宅の敷地の南側に隣接する土地に高層建物が建設されることを知りながら、「陽当たり良好」と説明して賃貸借契約を成立させた場合、消費者契約法に基づき、当該賃貸借契約が取り消される場合がある。

 

 

 

解説

賃貸住宅に関連する法令全般の問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。

 


選択肢 ①

障害者の差別の解消の推進に関する法律で禁止される行為を示した国土交通省のガイドライン(国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の促進に関する対応指針。平成29年3月国土交通省公表)は、宅地建物取引業者を対象としており、主として仲介の場面を想定した内容であるため、賃貸住宅管理業者の業務においては参考とならない

 

×不適切です。

国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」では、障害者差別解消法に基づき、事業者が障害者に対して不当な差別的取扱いを行わないようにし、合理的配慮を提供することを求められています。

 

ガイドラインでは、宅地建物取引業者に加え、マンション管理業、住宅宿泊管理業、賃貸住宅管理業及び特定転貸事業を含む不動産管理業者にも、障害者に対する差別の禁止や合理的配慮の提供が求められています。

つまり、障害者の差別の解消の推進に関する法律で禁止される行為を示した国土交通省のガイドライン(国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の促進に関する対応指針。平成29年3月国土交通省公表)は、宅地建物取引業者のみならず、賃貸住宅管理業者などの不動産管理業者も対象としています。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ②

賃貸借契約における原状回復に係る負担の特約は、原状回復ガイドラインや過去の判例等に照らして賃借人に不利であり、それを正当化する理由がない場合には、無効とされることがある。

 

〇適切です。

原状回復ガイドラインは、一般的な基準を示したもので、法的拘束力はなく、通常損耗分を借主に負担させる特約も有効です。特約を設ける場合の条件について、まとめシートでは以下の通り解説しています。

特約の効力が認められるには、上記のような要件を満たしている必要があります。

賃借人に不利であり、それを正当化する理由がない特約は、上記の要件を満たさないと考えられるため、無効となる場合があります。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ③

住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づき住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として登録を受けるためには、国土交通省令で定める登録基準に適合していなければならない。

 

〇適切です。

「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」いわゆる「住宅セーフティーネット法」は、住宅確保要配慮者への適切な賃貸住宅提供を推進することを目的としています。

この法律では、要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度が設けられており、セーフティネット登録住宅として登録する際には、住宅の規模、構造等について一定の基準に適合する必要があります。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ④

賃貸住宅の敷地の南側に隣接する土地に高層建物が建設されることを知りながら、「陽当たり良好」と説明して賃貸借契約を成立させた場合、消費者契約法に基づき、当該賃貸借契約が取り消される場合がある。

 

〇適切です。

消費者契約法は、消費者を保護するための法律であり、消費者契約の締結や勧誘において、不当な勧誘が行われた場合には、契約の取り消しが認められます。また、不当な契約条項を無効とすることで、消費者を保護する仕組みも定めています。

事業者が隣接地に高層建物が建設されることを知りながら「陽当たり良好」と説明して賃貸借契約を成立させた場合、消費者にとって利益となる旨を告げ、かつ不利益となる事実を告げずに契約を結んだことになります。

このような場合、消費者契約法に基づき、消費者は契約を取り消すことができます。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢①となります。

 

ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。

 

 

★関連解説★

障害者差別解消法に基づいた対応指針(R5年 第41問)

 

 

一発合格まとめシートは、ここから立ち読みできますので、ぜひ試してみてくださいね。

 

 

 

2024年度版 一発合格まとめシート
好評発売中!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA